展示中の収蔵品
【展示中】作品のご紹介
2025.07.05(土)より展示開始
犬筥コレクション
お雛さまの隣に飾られていた犬の形をした入れ物に、京都の骨董屋さんで出会ったのは50年ほど前。幼い子どもの顔に、犬の身体をしたその可愛らしい姿に惹かれ、店主に尋ねると、「犬筥(いぬばこ)」という名称だと教えてもらいました。
犬筥は、室町時代から伝わるもので、安産の守り神とされ、お姫様のお嫁入り道具として使われていたそうです。産着を犬筥に入れておいてから赤ちゃんに着せたり、臍の緒を入れて犬筥ごと土に埋めたりと、さまざまな使い方がありました。紙で作られた犬筥は、上等なものほど金箔が多く使用され、絵柄もとても繊細です。額の毛は「蒔絵筆」という極細のネズミの毛の筆で描かれています。
ガラスの文鎮
以前、日本に住んでいたイギリス人の友人宅を訪ねたとき、テーブルの上に丸い不思議なガラスが置いてあり、その中には、美術館のような建物や人々が描かれていました。「これは何?」と尋ねると、「グラス・ペーパーウェイト」だと。文鎮といっても、ヨーロッパでは芸術品のような美しいものが多いのだと知りました。
その後、友人が帰国する際「思い出に」と、そのペーパーウェイトをプレゼントしてくれて、それがきっかけで、旅先などで少しずつ集めるようになったのです。お花の花びら一枚一枚や、とても小さな模様など、ガラスで丁寧に繊細に作られていて、じっと見ていると、小さな世界に引き込まれるような不思議な感覚になります。
アンティークビーズバッグ
ビーズ織りのバッグは、とても小さなビーズを丁寧に織り上げて模様を表現した、美しく繊細な工芸品です。まるで織物のような質感に加え、ビーズならではの光沢が独特の魅力を放ちます。
母が好んで集めていたことから、自然と私も心を寄せるようになりました。滑らかな手触りと心地よい重み、一粒一粒のビーズの輝きに癒されます。特に昔の作品は、再現が難しいほど高度な技法が使われており、職人の手仕事のぬくもりと時の重みを感じさせてくれます。
アンティークのマイセン食器
ドイツのマイセン磁器製作所で18世紀初頭に誕生したヨーロッパ最古の硬質磁器です。職人の高度な技術と芸術性が光る繊細な絵付けと上質な白磁が特徴で、花や風景の金彩装飾など、華やかなデザインが多く、王侯貴族にも愛されました。時代ごとの裏印や、絵付けの違いから歴史を感じられます。
着物
ニューヨークでの留学生活の中で、着物の「伝統美」に触れたことがきっかけで、着物を集めるようになりました。特に江戸時代や明治、大正、昭和初期など、比較的古い時代の着物に強く惹かれます。
私が興味を持った着物は、現代の洋服で言うところのオートクチュールのように、一着一着にさまざまなこだわり、思いや願いが込められ、丹念に仕上げられた特別な衣装です。
集めている着物のデザインは無難なものではなく、独創的で驚きに満ちています。どの図案も自然や季節、生活に根ざした深い意味が込められ、「なぜこんな発想が?」と感心させられます。




